ここからご覧になっている方は是非、その1とその2もお読みになって下さい。
前回までのお話をざっと振り返りますと、魔女グレイツェルから人間の姿に戻ったクレルはメルサンディ村のために一所懸命に尽くしてきましたが、ある日、これまで自分の人生だと思っていたものが物語として描かれていたことを知り、精神的に大きな衝撃を受けます。
『小さな英雄ザンクローネの物語』の作者パンパニーニであり偽りのメルサンディ村に住む吟遊詩人のパニーノはいずれ他の村人たちも物語の登場人物であることを知って傷つくことを懸念し、真のメルサンディ村にいる孫娘のアイリに物語への新たな設定の追加を依頼します。
物語の中で、100年以上前のメルサンディ村に暮らしていたとされているクレルのおばあさんに手がかりを感じて設定を追加したアイリですが、その後、偽りのメルサンディ村がどうなっているのかというところから今回のお話が始まります。
場面9 偽りのメルサンディ村 吟遊詩人パニーノ
「よくぞ戻って来た。(主人公名)よ!」
「しかしアイリちゃんが設定を書き加えてくれているとは思うんじゃが、あれから特に何も変化が起こっておらんのじゃ。」
「一体どうしたもんかのう。念のため、もう一度アイリちゃんに…。」
突然、辺りが闇に包まれ雷雨と嵐が巻き起こった!
デーレーレーレーレーレー♪ レーレー♪ (不穏な音楽が流れる)
場面10 偽りのメルサンディ村上空 魔想念ドレアム
「お主は我を倒せし者。」
「あれから魔想念となった我は遙かなる長い年月の間、別の世界へと漂い、どこかへ辿り着くはずだった。」
「ところがこの地を守る精霊が消滅していたことから、我はやすやすとこの地に留まることができ、早くもかつてのチカラを取り戻しつつある。」
「しかしそれにはまだ幾ばくかの時間を要する。」
「我の休息を妨げようとする外部からの不可思議なチカラは抑止せねばならぬ。」
「しかもそのチカラがこの地の住民たちを夢へと誘うものであったから笑止千万!」
「悪夢を司る我がそのチカラを止めた上で、この地に暮らす者どもに永遠の眠りを与え、地獄の世界を見させてやろう。」
「我を止めたければ、井戸の底にある地下水路の奥の間まで来るがよい。」
「だが魔想念ドレアムと化している今の我に、生あるものは触れることすらできまい。」
「お主では我にかすり傷ひとつ与えることすらできないのだ。」
「お主には、実体なき我と戦うか、それとも我が肉体を取り戻すまでの間、この地の民が地獄の苦しみを味わうのを黙って見ているか、二つの絶望から選ばせてやろう。」
「お主と再び戦火を交える時を楽しむに待つことにしようぞ。フハハハハハハハ。」
辺りの霧や雲が立ち消えメルサンディ村の景色が元に戻った。
場面11 偽りのメルサンディ村 吟遊詩人パニーノ
「何やら大変なことになってきたようじゃの。」
「今、村中の民家を見て回ってきたが、あやつの言う通り、わしとおまえさん以外は眠ったまま、ひどい悪夢にうなされているようじゃった。」
「はじめはアイリちゃんの手の込んだ演出じゃと思っておったんじゃが、ここまで回りくどいことをアイリちゃんがするとは考えられんから、あの魔物は本当にこの地に漂着し、そのまま居着いてしまったのじゃろうな。」
「この地を守る精霊じゃったザンクローネがいなくなったことで、ああいう悪い霊のようなものが留まることになってしまったのかもしれんのう。」
「最近、何度か急に雷雨や嵐が巻き起こっておったのも、あやつの仕業だったのじゃろう。」
「しかしこのままでは村人たちに勇気を与えるどころではない。アイリちゃんが書き加えた新たな設定も、あやつに止められているようじゃったしのう。」
「(主人公名)よ!あやつはお前さんと戦ったことがあると言っておったな。」
「今のあやつは実体がないまま、こちらには攻撃を仕掛けてくることができる厄介な状態のようじゃ。」
「このまま戦っても勝てる相手ではないじゃろう。」
「もし、あやつに詳しい者がおるようじゃったら、一刻も早く策を講じて奴を倒すのが良かろう。」
「幸いなことに、わしは村人たちとは出で立ちが違うからなのか、何事もなく無事にいられるようじゃ。」
「その間、わしはここで吟遊詩人パニーノとして音を奏でて歌い、村人たちの苦しみを少しばかりでも食い止めながら待っておるぞ。」
「それでもそれがいつまで持つかはわしにもわからん。道草せずに急ぐんじゃ。頼んじゃぞ!」
場面12 グランマーズの館 グランマーズ
(主人公名)はグランマーズに魔想念ドレアムがあらわれたことを伝えた。
「やはりドレアムはその地におったということか。」
「そうか。その地を守る精霊が消滅したことで、別の世界へ漂っていくはずだったドレアムが途中でそこに留まることになったのじゃな。」
「しかも今は実体を取り戻す前の魔想念の状態となれば、生身の人間にはどうすることもできん。」
「その地の精霊か、それに相当するチカラを持った存在がドレアムに抗おうとしない限り太刀打ちすることは不可能じゃ。」
「ところで、その地を守っていた精霊というのは何故に消滅する道を選んだのじゃ?」
「ザンクローネじゃと!その名は存じておる。」
「ザンクローネがその地の精霊で、ある魔女を人間に戻すために自らを犠牲にして消滅してしまったというのか。」
「なるほど、確かに物語の出来事が現実のものとなるという特殊な世界で起こりそうなことじゃ。」
「一度消滅した精霊が再び生まれ変わるまでには数十年、いや数百年の年月を要するであろう。」
「一筋縄ではいかない困難な事態じゃ。わしの水晶球で占ってみることにしよう。」
グランマーズは両手を水晶球の前へ掲げた。
「その手があったか!しかしそれは可能なことなのか?」
「事態は一刻を争うのじゃろう?先にドレアムの元へ向かっておくれ。」
「これはわしがなんとかせねばならんことのようじゃ。わしの占い師としての腕が確かなら、その頃に間に合うはずじゃ。どんなに辛くともわしを信じて耐え忍び待ち続けるのじゃぞ!」
(主人公名)はグランマーズの館を出た。
その4に続く←続きはこちらから見ることができます
今回はここまでです。
グランマーズがザンクローネのことを知っているというのは勝手に考えた非公式の部分になりますのでご了承下さい。
魔想念ドレアムというのもゲームにはいません。
魔想念ドレアムが出てくると急に天候が悪くなるというところもそうですが、これはお話の最初でセレドの子供たちが遠足に来た時も、実はどこかに出現していた(簡単にいうと井戸の外へドレアムが外出していた)から急に嵐になった、という感じにしてみたかったというのもあります。
今回はちょっと今後の展開のハードルが上がるような終わり方にも少しなってしまったような気もしますが、あまり期待するとがっかりしてしまうと思うので、力を抜いて気楽に続きを見て頂ければいいかなと思います。
村人が眠らされてしまうというのはドラクエⅢの時のノアニールという町を彷彿とさせるようなところもあって、いくつか考えていた展開の中でこれを選ぶことにしました。
村人が眠らされてしまうというのはドラクエⅢの時のノアニールという町を彷彿とさせるようなところもあって、いくつか考えていた展開の中でこれを選ぶことにしました。
次回以降も見て頂けると嬉しいです。
ここから初めて見た方は遡って初回や前回のも見てみて下さい。
読んでくださってありがとうございます。
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